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基本の32手からの指し手
▲4六銀 △5三銀 ▲3七桂 △7三角 ▲1六歩 △1四歩
▲2六歩 △2四銀 ▲3八飛 △9四歩 ▲1八香 △8五歩
▲6五歩 △9五歩 ▲2五桂 △4二銀 (基本図) - 現在最も多く指されている相矢倉のテーマ図。基本図より▲3五歩と▲5五歩の2つの仕掛けがあり、ここから本格的な戦いが始まります。その局面に至るまでの駒組みを簡単に記していきます。いろいろ変化する余地も多いのが矢倉の特徴で、あくまで参考程度に覚えておくと良いと思います。
- ※ 内容が古くなってきたので、近々書き直す予定です。
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第1図以下の指し手
▲4六銀 △5三銀
(第2図)
- この4六銀・3七桂型は、後手から△4五歩と牽制してくる筋が常にありますので対策を知っておくと便利です。ちなみに、第1図の局面でも△4五歩と押さえ込みにくる定跡があります。以下、▲3七銀と後退するよりないですが、△5三銀 (1)▲4六歩~▲4六同角とすぐ反発する順(参考図)と、(2)▲4八飛と一回力をためてから▲4六歩と反撃する順があります。いずれも先手が指せる展開ですが、優勢を築くのはとても難しいものがあります。また、第1図の▲4六銀に変えて▲1六歩、もしくは▲2六歩とするのも、よく指されている定跡です。その指し方は加藤流になりまので、このページでは省略します。
- 本手順、△5三銀のところ△7三銀からの攻め合いも考えられますが、これは後手不満です。▲4六銀を保留する加藤流の場合は有効ですが、本譜の場合すでに▲4六銀と攻めの形が作られているので、どうしても先手の攻めの方が早くなるからです。一例として、第1図以下△8五歩▲3七桂△7三銀▲2六歩△7五歩▲同歩△同角▲5五歩△同歩▲5八飛と進むと、後手の角も不安定ですし、先手十分となります。この辺りの距離感が矢倉の難しいところかもしれません。
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第2図以下の指し手
▲3七桂 △7三角a
▲1六歩 △1四歩
▲2六歩 △2四銀
▲3八飛 △9四歩
▲9八香 (第3図)
a ・・・省略する順もある
それを第8図より - 第2図より、気をつけておきたいポイントは、後手は端を受けるのに対し、先手は端を受けないところくらいです。先手の布陣は棒銀が消えているので、後手が△1四歩と受けても大丈夫。かえって△1四歩を怠ると、将来の端攻めが余計に厳しくなります。対して△9四歩に先手が▲9六歩と受けるのは、すかさず△9五歩(参考図)と一歩交換にこられます。それも一局の将棋ですが、端に嫌味をつけられるのは先手としては不満なので、受けないのが一般的です。第3図の▲9八香とあらかじめ角のラインから避けておいて、先手の攻めの態勢が完了します。
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第3図以下の指し手
△9五歩 (第4図)
- 第3図は後手の分岐点です。本手順では△9五歩ですが、△8五歩も有力な指し方です。むしろ、△8五歩の方が本筋かもしれません。結局、後手は8五も9五も歩を前進させるのですが、どちらを先に指すかで展開が変わってきます。簡単に違いを解説すると、△9五歩を先にする場合は穴熊を牽制している意味があります。△9五歩に対し、それでも先手が▲9八香と穴熊を試みたい場合は、すぐに△9三桂と跳ねて咎めることができます。第3図より△8五歩の変化は少し複雑なので、また別ページで紹介する予定です。
- 穴熊の咎めかたを具体的な手順で示すと、第3図以下△9五歩 ▲9八香 △9三桂 ▲9九玉 △4二銀 ▲8八銀 △8五桂 ▲8六歩 △9七桂成 ▲同銀 △6四角(参考図)です。次に△9六歩~△8五歩~△9七歩成を狙えば後手が優勢になります。途中の△4二銀は▲6五歩をつかれたときに、角を5七へ逃げられるようにしています。
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第4図以下の指し手
▲6五歩a (第7図)
a ・・・▲2五桂を第5図 - 先手は▲2五桂~▲3五歩と攻めていくのがこの駒組の目的なのですが、一度▲6五歩を入れておくのがポイントです。この▲6五歩には深い意味があります。▲6五歩に対して△6四歩と反発される手は気になりますが、以下▲6四同歩 △同角 ▲5五歩 △同歩 ▲1五歩 △同歩 ▲3五歩 △同歩 ▲2五桂(参考図)が一例で先手が指せます。途中△同角のところ、△同銀とするのも▲1五歩~▲3五歩と攻めて大丈夫です。▲6五歩の本来の意味は、△4五歩の反発を消している意味が大きいです。その辺りについては少し長くなるので、次に記します。
- ▲6五歩に△6四歩の反発は心配ありませんが、第4図の△9五歩にかえて△8五歩と指されていた場合は後手の反撃も厳しく、難しい形勢となります。
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第5図以下の指し手
△4五歩 ▲同銀
△1九角成 ▲4六角
△同馬 ▲同歩
△5九角 (第6図) - 第5図~第6図は▲6五歩を指さないで、いきなり▲2五桂から攻めにいった場合です。その場合は△4五歩の反発が成立します。一応これも有名な定跡手順なのですが、現在は先手が避けるのが常識です。▲6五歩の一手が入ってあると、第6図の局面で▲6六角の王手が厳しい手となります。第6図の局面だと、その手がないので2五の桂が逆に負担となってしまう展開です。
- △4五歩の反発を避けるために、以前は第4図から▲5七角が一般的でした。ただ、▲6五歩と比較したとき将来▲6四歩と突き捨てる攻め味がある分だけ、▲6五歩が優ります。
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第7図以下の指し手
△8五歩 ▲2五桂
△4二銀 (基本図) - 後手に有効な反撃手段がないということで、以下▲2五桂に△4二銀と先手の攻めに備えて基本図を向かえます。基本図より先手は▲3五歩、もしくは▲5五歩から開戦していきます。この局面に至るまでにも、本当にたくさんの変化が含まれていますから、覚えるだけでも骨がいるかもしれません。でも、この奥の深さが矢倉の醍醐味でもあります。
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第8図以下の指し手
▲5五歩a △同歩
▲1五歩 △同歩
▲2五歩 (第9図)
a ・・・▲9六歩が一般的 - 最後に補足として、△3三桂とする変化をここから第11図まで紹介します。こういった手は第8図の局面に限らず、つねにある形なので覚えておくと良いかと思います。意味は早めに桂馬を交換してしまって先手の嫌味を消してしまうものです。本手順では、第8図より▲5五歩と仕掛けますが、▲9六歩から参考図のように進めて、▲7五歩を見せるのも定跡です。ただし、▲5五歩からの仕掛けの方が自然なのでこちらを本筋とします。以下、最後の▲2五歩が攻めのポイントです。
- 仕掛ける場合、できれば▲6五歩△7三角の交換も入れておきたいところですが、8五歩型なので入れない方が良いでしょう(△8六歩の突き捨ての対応が難しいから)。8四歩型の場合は、その交換を入れておいた方が、攻め筋も増えるので必ず入れておきます。
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第9図以下の指し手
▲3五歩 △同歩
▲同銀 △3四歩a
▲2六銀 △7三角b
▲1五銀 (第10図)
a ・・・△3六歩は▲3四歩で先手良し
b ・・・△5六歩は▲同金で困る - もともと後手は桂交換するために△3三桂と跳ねているので、本手順△1三銀とするのはありえないのですが、実際指されてみると悩むと思います。ということで、そこからの先手の攻略の仕方を見ていきます。ちなみに、△1三銀のところでは△2五桂が正しい対応ですが、その場合は普通に参考図のように攻めれば良いので迷うことないと思います。4六銀・3七桂型はとにかく端の攻めが強力であることを心得ておきましょう。
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第10図以下の指し手
△1四歩 ▲同銀
△同銀 ▲同香
△同香 ▲1三銀
(第11図) - 先手駒損の攻めも、端を破っているのが大きく先手優勢です。▲1三銀は重たくて筋悪いですが、こういった手がこの戦型においては効果的なことが多いです。第11図以下、△3一玉の一手ですが▲2四歩と攻めこんでいけば切れる心配はありません。