右四間飛車
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初手からの指し手
▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △3四歩 ▲6六歩 △6二銀
▲5六歩 △6四歩 ▲7八金 △6三銀 ▲4八銀 △5四銀
▲5七銀右(第1図) △6二飛 ▲2六歩 △3二金 ▲2五歩 △3三角
▲6九玉 △4一玉 ▲5八金 △7四歩 ▲6七金右 △4二銀
▲7九玉 △3一玉 ▲4六銀 (テーマ図)
△7三桂a ▲5七銀上b △5一金c ▲3六歩 △6五歩 (第7図)
a ・・・△6五歩を第16図より
b ・・・▲3六歩を第13図より
c ・・・△6五歩を第10図より - 右四間飛車は攻めが強力なので、受けに慣れていないと、あっという間に攻め潰されてしまうこともあります。このページでは、そうならないようにするための先手の駒組みのポイントと受け方を記していきます。先手の受けかたを主体にしていますので、後手は攻めに固執した展開のみ取り扱っています。また、右四間飛車にも幾つかの構えがありますが、今回は最も有力と思われる△3二金型右四間を取り上げます。
- テーマ図では、まだ後手の陣形は完全ではなく、あと△5一金と△7三桂の2手指してから攻めるのが理想です。その間に先手は早めに▲4六銀と上がっておくことが、大切です。1手でも遅れると(先手の)打開が難しくなったり、後手の攻めを凌ぐのが大変になってしまいます。まずはテーマ図になるまでに、気をつけておきたい駒組みのポイントを紹介していきます。テーマ図からの戦いは第7図より記しています。
右四間飛車対策の基礎知識
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右四間飛車を避ける場合
▲7六歩 △8四歩
▲6八銀 △3四歩
▲7七銀 (参考1図) - 右四間飛車は、超急戦棒銀と同様、先手が角道を5手目に止めてしまっているために成り立つ戦法です。なので、先手がこの右四間飛車を避けたければ5手目に▲6六歩ではなく、▲7七銀とすることで心配はなくなります(つまり、先手▲6六歩をつかなければ6五の地点が争点にならないという理由です)。ただし、5手目▲7七銀の場合は矢倉中飛車にされると、その手が少し負担になります。すなわち、後手の指し方によってどちらも一長一短になりえるということです。
- 本譜は5手目▲6六歩とする駒組みです。その場合、▲7七銀とあがってしまうと、将来△6五歩と仕掛けられたときに、桂馬にも当たってきたりして受けが難しくなります。ということで、参考2図のような「流れ矢倉」という形を目指して駒組みしていきます。加えて、右四間飛車にもいきなり超急戦型で仕掛けられる場合もあるので、それに対応した駒組みの順序も大切です。それを次項より記していきます。
△6五歩の仕掛けに備える
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初手からの指し手
▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀
△3四歩 ▲6六歩 △6二銀
▲5六歩 △6四歩(途中図)
▲7八金 △6三銀 ▲4八銀
△5四銀 ▲5七銀右(第1図)
△6二飛 ▲2六歩a(第4図)
a ・・・▲5八金を第2図より - 8手目△6四歩に対して、先手は▲7八金(=途中図)と上がって角に紐をつけておきます。この手に変えて▲6八銀では、いきなり△6五歩と仕掛けられる手が厄介です。そして、後手が△5六銀と腰掛たのを見て、▲5七銀右(=第1図)と6筋を厚くし右四間飛車に警戒します。
- 第1図より、△6二飛に対しての指しかたが問題です。定跡では▲5八金として、守りをかためるのが一般的ですが、そこでは▲2六歩(これも定跡)とする方をお勧めします。まずは、▲5八金とした場合の変化を次項より調べていきます。
分岐:▲5八金の場合
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第2図以下の指し手
△6五歩 ▲6七銀a
△6六歩 ▲同銀直b
(第3図)
a ・・・▲6七金右は参考図
b ・・・▲同角もある - 第2図は▲5八金と仕掛けに備えた自然な一手。右四間飛車は、角交換から△3九角の筋を常に狙っていますので、これに気を使いながら対応していきます。後手が△6五歩を自重して、自陣の整備に向かえば、テーマ図と同じ局面が予想されますが、△6五歩といきなり仕掛けてきた場合の対応が悩ましいところです。本譜△6五歩の仕掛けに対しては、▲6七銀と雁木にするのが正しい応手です。以下、△6六歩に▲同銀直と取ります。▲同銀右はその後の受けが難しく先手が苦しくなります(6七の銀が負担になってしまう)。
- ▲6七銀のところでは、▲6七金右が自然ですが、以下△6六歩▲同銀△6五歩▲5五銀△4二金(参考図)と進んで先手劣勢となります。
先手としては面白くない展開
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第3図以下の指し手
△6五銀 ▲同銀
△8八角成 ▲同金
△6五飛 (結果図) - 第3図以下、普通に清算しあって結果図。形勢に差がついているわけではないですが、後手の方は低い陣形なので、駒組みもしやすいです。反面、掻き回されてしまった先手の方としては、面白くない展開と言えそうです。
- 結果図以下、▲6六歩~▲6五角からの馬作りは以下△4二玉▲8三角成△7四銀で上手くいかない。
反撃できる体勢を先に作る
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第4図以下の指し手
△3二金a ▲2五歩
△3三角(第5図)▲6九玉
△4一玉 ▲5八金
△7四歩 ▲6七金右
△4二銀 ▲7九玉
△3一玉 ▲4六銀
(テーマ図)
a ・・・変化・△6五歩の仕掛け - 前述の通り、15手目▲5八金では△6五歩と仕掛けられたときに面白くないので、その手に変えて▲2六歩とした局面が第4図です。こちらの方が、先手の右の金をまだ動かしていないので、△3九角の筋を気にしなくて良い利点があります。よって、△6五歩の仕掛けに対しても耐性があります。その間に、▲2六歩~▲2五歩と飛車先の歩を伸ばし、反撃できる体勢を作ります。そうしてから、▲5八金と自陣の整備を整えるのが、ちょっとしたポイントです。
- 一応、第4図の▲2六歩とした瞬間にも、△6五歩と仕掛ける手があることはあります。その場合は、先手が少し指しやすくなりますが、その変化を次より調べていきます。
同じく雁木で対応する
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第6図以下の指し手
▲6七銀 △6六歩
▲同角 △6五歩
▲7七角 △3三角
▲7五歩 (結果図) - 第6図の△6五歩の仕掛けに▲同歩と取れないこともないですが、やはり雁木の形で対応するのが最善です。以下△6六歩に、▲同角と応じます(△3九角の筋が無いので)。対して、△同角ならば普通に▲同銀直として問題ありません。本譜は△6五歩の拠点に満足して、後手は持久戦に方針を変更した手順ですが、▲7五歩と後手の桂馬の活用を抑えて、先手の指しやすい将棋となります。結果図より、▲7六銀~▲6八飛と逆襲を狙うのが、超急戦形においての一つの指し方となります。
お互い理想形からの開戦
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第7図以下の指し手
▲6五同歩a △8八角成
▲同玉 △3三角
▲9八玉 (第8図)
a ・・・▲3五歩は先手不利 - ここより本題です。まずはテーマ図から、後手がしっかり駒組みしてからの仕掛けを検証します。それが第7図の局面。先に結論を書くと、この場合は先手もそれに対応した体勢が作られているので、仕掛けは成立しません。▲4六銀と▲5七銀上の形が既に整っている場合は、▲6五同歩と取るのが基本です(▲5七銀上を指す前に△6五歩と仕掛けられた場合は取れない)。言い方をかえると、△6五歩の仕掛けに対して、▲6五同歩と取りたいがために無駄なく駒組みをしています。余裕があるなら△1五角の筋を消す▲1六歩も指したいところですが。
- ということで、本譜△6五歩の仕掛けには、普通に▲同歩と応じるのが最善です。以下、角交換から△3三角の王手には▲9八玉と寄る手が好手となります。また、▲6五同歩のところ、▲3五歩と攻め合うのは、△6六歩▲同銀△6五銀▲5五歩△6六銀▲同金△6五銀▲同金△同飛▲6七銀△3五歩(参考図)が一例で、先手不満です。この展開の場合は▲3五歩の突き捨てが、いまひとつ効いていません。
先手良し
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第8図以下の指し手
△9四歩 ▲3七角
(第9図) - 第8図より端玉には端歩ということで△9四歩としますが、▲3七角として先手優勢の局面となります。以下△9五歩には▲5五歩△8五桂に一回▲8八玉としておくのが好手です。
- よって、先手もこの▲6四銀と▲5七銀上の2手が入っていれば大丈夫です。そこで、後手も△5一金の一手を省略して、いきなり△6五歩と仕掛ける展開を次より調べていきます(テーマ図から△7三桂▲3六歩△6五歩と進んだ局面です)。
△5一金を省略した仕掛け
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第10図以下の指し手
▲6五同歩 △8八角成
▲同玉 △7五歩
▲同歩 △6五桂
(第11図) - 第10図は、△5一金の一手を省略して△6五歩と仕掛けた局面です。この場合も▲6五同歩と取る手が最善です。今度は先ほどの局面と違って▲3六歩が指されていないので、第10図▲6五同歩以下、△8八角成▲同玉△3三角には▲5五歩として問題ないです(参考図)。当然、▲3六歩の一手が入っていると王手飛車の筋があるため、この受けは出来ません。参考図以下、△5五同銀▲同銀△同角▲6六銀打△3三角▲5六銀と進んで先手の指しやすい展開となります。とにかく、この辺りの折衝では、先手は駒を惜しまず受けることが大切です。
- したがって、前述と同じ攻め方では上手くいきません。そこで後手は▲3六歩を指されていないのを利用して、△7五歩の突き捨てから攻めの糸口を作りだしてきます。
冷静に対応して先手良し
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第11図以下の指し手
▲6六銀 △7七歩
▲6八金寄(第12図)
- 第11図の銀取りを手抜いて▲7三角と攻めあう順もありますが、▲6六銀が無難です。以下、△7七歩には▲6八金寄と交わしておいて先手良しとなります。第12図より、▲5五歩や▲7三角など指したい手がたくさんありますから、手に困ることはないはずです。なお、途中△7七歩のところで▲同桂と普通に応じるのは危険で、以下△3九角からの強襲があり先手劣勢となります。
分岐:▲5七銀上のところで先に▲3六歩
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第13図以下の指し手
△6五歩 ▲5七銀上
△7五歩 (第14図) - 第13図の局面は本手順▲5七銀上のところで、先に▲3六歩を指した局面です。これも定跡の一つではありますが、この変化は難解です。後手は図の局面より、すぐ△5一金なら前述と同じ局面になりますが、この瞬間を狙って△6五歩と仕掛けます。以下▲6五銀上に△7五歩と桂先の歩を切って、攻めをより厳しくします。
- 本譜、△6五歩の仕掛けに▲6五同歩も無いこと無いですが、以下△同銀と進んだ局面は先手の受けが難しいところ。単に▲6六歩は、以下△同銀▲同金△同飛と進んで先手敗勢です(参考図)。いずれにしても、△6五歩には▲5七銀上とするのが受けの形ですので、深く考えず▲5七銀上と指せるようにしておくと良いです。
右四間飛車の猛攻
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第14図以下の指し手
▲7五同歩 △6六歩
▲同銀 △6五銀
▲5五歩a (第15図)
a ・・・▲同銀も有力 - 第14図は△7五歩の突き捨てを手ぬくことはできません。以下進んで、▲5五歩と角道を止めるのが、右四間飛車においての受け方です。これで一見後手の攻めが受かっているようですが、まだまだ続きます。
- この展開の場合は6一の金が離れているので、▲5五歩のところでは、強く▲6五同銀と取る手も有力だと思われます。以下、△8八角成▲同玉△6五飛▲6六歩に△3九角と進んで参考図。飛車交換になる展開なので、先手としては”先手”で飛車を打ち込めるのが心強いです。途中△6五飛のところでは、△6五桂といく方が自然ですが、一応きわどく凌げます。
5筋の取り込みも相当(形勢不明)
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第15図以下の指し手
△6六銀 ▲同金
△6五銀 ▲6七金引
△6六歩 ▲5七金
△5四歩 ▲7四銀
△5五歩 (結果図) - ▲5五歩からはほぼ一直線の進行となります。後手の桂馬を捌かせてしまうと駄目なので、先手我慢する展開です。以下△5四歩と角道をこじ開けてくる手が、強い攻めで▲7四銀にも手抜いて△5五歩が厳しい一手となります。後手、瞬間は駒損するものの飛車と角が使えてきますので、先手も受けるのは相当困難です。できれば、この展開は先手避けるべきだと思います。
分岐:テーマ図から△6五歩の仕掛け
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第16図以下の指し手
▲5七銀上 △6六歩
▲同銀 △6五銀
▲同銀 △8八角成
▲同玉 △6五飛
(第17図) - 最後に補足として、テーマ図よりいきなり△6五歩と仕掛ける変化を紹介します。やはり、後手としては▲5七銀上を決められてしまってから仕掛けるのは面白くないので、その前に仕掛けてしまう狙いです。本譜、△6五銀には▲5五歩(参考図)もあるところですが、後手の攻めはまだ整っていないので、ここは自然に▲同銀と応じたいところです。
▲2四歩の突き捨てがポイント
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第17図以下の指し手
▲2四歩a △同歩
▲6六歩 △2五飛
▲2六銀 △3九銀
▲2七飛 (第18図)
a ・・・単に▲6六歩は△3九角 - 第17図より一度▲2四歩と飛車先の歩を突き捨てておきます。以下、▲2四歩の突き捨てを逆用して△2五飛と飛車をぶつけますが、▲2六銀と手堅く指すのが好手となります。そして、△3九銀と進みます。
- 第17図で、単に▲6六歩には△3九角があり、この将棋は一局ながら先手としては面白くない展開です。以下、▲3八飛△6六角成▲同金△同飛と参考図の局面が予想されますが、先手歩切れなため受けが難しいのです。参考図より、▲5五角は△6九飛成が逆先なので駄目。なので、▲6七銀しかないですが△6五飛とされ、悩ましい局面が続きます。▲2四歩の突き捨てが入っていれば△3九角のとき▲2四飛と飛車を逃げながら歩を補充できるので、それは先手はっきり優勢となります。
先手良し
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第18図以下の指し手
△7二角a ▲3六角
△同角 ▲同歩
△4九角 ▲2五銀
△2七角成 ▲3四銀
△3三歩 ▲4五銀引
△4九馬 ▲2三歩
(結果図)
a ・・・単に△4九角は▲6三角 - 図の局面より、△4九角とすぐ飛車の取り合いにいくのは▲6三角と、先手は馬を作るのが好手で後手上手くいきません。そこで一度△7二角と打って、角交換してから△4九角としています。進んだ結果図の局面は、まだ難しいところもありますが、▲2三歩が厳しく先手良しです。