4五角戦法
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初手からの指し手
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩
▲7八金 △3二金 ▲2四歩 △同歩 ▲同飛 △8六歩
▲同歩 △同飛 ▲3四飛 △8八角成 ▲同銀 △2八歩
▲同銀 △4五角 ▲2四飛 △2三歩 ▲7七角 △8八飛成
▲同角 △2四歩 ▲1一角成 △3三桂 ▲3六香 △同角(テーマ2図)
▲同歩 △4五桂a (第1図)
a ・・・△5四香を第7図より - テーマ2図は29手目▲3六香にすぐ△同角と取った局面。この定跡もテーマ1図と同じくらいの割合で現れるので、事前の対策は必須です。テーマ図から、▲3六同歩に△4五桂が後手の継続手。これの受け方が悩ましいところです。
- また、△4五桂のところでは、次善手の△5四香と打つ手も気を付けなければいけない変化。こちらは第7図より解説していきます。
意外と手ごわい△4五桂
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第1図以下の指し手
▲6八玉a △5四香
▲5六歩 △5七飛
(第2図)
a ・・・▲6六馬を第3図より - 第1図から先手は5七の地点を守らなければなりませんが、(1)▲6八玉、(2)▲6六馬の2つの定跡と、▲4八金の3通りの受け方が考えられます。自然に思える▲4八金は以下、△5四香▲6六馬△5七不桂▲同金△同香成▲同馬△3八金(=参考図)と露骨に攻められて、先手劣勢です。また、次善手の▲6六馬はギリギリの戦いとなります。こちらは第3図より記していきます。
- 本譜▲6八玉は手堅い指し方。以下、△5四香に▲5六歩が手筋の受け。△同香ならば▲5八歩と争点をづらしていなすことができます。よって、▲5六歩に対し、△5七飛と攻めてきます。
▲4六飛がこの一手(先手良し)
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第2図以下の指し手
▲4六飛 △5六飛成
▲同飛 △同香
▲5八歩 (結果図) - △5七飛の一番の狙いは△4七飛成~△5七桂成です。これを許してしまうと、どうしても先手上手くいかないので、▲4六飛がこの一手の受けとなります。例えば第2図より▲6六馬だと、以下△4七飛成▲4八歩△5六龍!で先手敗勢となります。
- 本手順、▲4六飛は桂取りになっているので、後手は△5六飛成とするしかありません。以下、▲同飛△同香▲5八歩と丁寧に受けて先手十分です。
分岐:33手目▲6六馬の定跡
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第3図以下の指し手
△5四香 ▲4六角
(第4図) - 基本的に馬を自陣に引き付けられるときはその方が良いのですが、この場合は難しい将棋になるので先手も正確な応手が必要です。後手は、第3図の▲6六馬より△5四香から5七の地点を狙いにしてきます。これに対して(1)▲4六角、(2)▲5六歩、(3)▲3五角の3つの定跡があります。▲4六角と▲3五角はほとんど同じ意味なので、▲4六角のみ紹介します。
- ▲5六歩は△同香と取ってくれれば▲5八歩として先手良いのですが、▲5六歩には△5七銀とされて先手敗勢となります。以下、▲7七馬△5六香▲6九玉△5八銀成(参考図)と畳み掛けられて凌ぎきれません。したがって、△5四香に対しては▲4六角が最善手となります。
- ▲3五角の定跡は、△2五飛を気にしないといけない分だけ▲4六角より劣ります。ただし、△2五飛も▲2六歩と受けて大丈夫だと思うので、どちらでも構いません。
普通に清算する
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第4図以下の指し手
△5七桂不成a ▲同角b
△同香成 ▲同馬
△5五角 (第5図)
a ・・・△5五銀は次善手
b ・・・▲2四角と王手しては駄目 - 第4図より△5七桂成らずが後手の最善手。ここでは△5五銀も定跡ですが、以下▲同角△同香に▲4六銀として、本手順と同様の局面になります。また、▲4六銀のところでは、▲5六歩(参考図)とする手も考えられるので、その分だけ△5五銀の定跡は劣ります。
- △5七桂成らずには、普通に▲5七同角から清算します。どうせ取られるのだから、一回▲2四角と王手してから▲5七角とやりたくなってしまいますが、これは損ですので止めましょう(後でわかります)。
- 第4図より△5五銀に▲2四角が定跡ですが、以下△6二玉▲7五馬△6四銀と進んで千日手模様。もしくは後手からの打開策もあるので先手としては選んではいけない変化です。
攻めあい
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第5図以下の指し手
▲5四歩a △2八角成
▲5三歩成 △5八歩
▲2四馬 (第6図)
a ・・・▲8二歩は形勢不明 - 第5図より▲8二歩が横歩取りの将棋でよく出てくる手筋ですが、以下△2八角成▲8一歩成△6二銀▲8二と△2九馬▲8一飛△3七桂と進んで形成不明となります。局面的には少し後手有利に見えるのですが、▲2四馬の王手が残っているのは、先手にとって大きな強みです。
- 本手順、▲5四歩が急所の一手。△同歩と取るのは▲5三桂が厳しいので、手抜いて△2八角成としますが、以下△5二歩に▲2四馬と反撃に転じます。
先手優勢
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第6図以下の指し手
△3三銀 ▲同馬
△同金 ▲2一飛
(結果図) - 第6図より△3三銀と受けますが、5三のと金が急所に効いているので▲同馬と切って問題ありません。以下、△同金の一手に▲2一飛が両取りになっていて受けるのも相当困難です。結果図より△8六角▲6九玉△5三角▲2八飛成と進んで、すぐに決着がつくわけではありませんが、確実な指し方です。
変化:32手目△5四香の定跡
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第7図以下の指し手
▲8五飛a (第8図)
a ・・・最善手 - 第7図は前述の△4五桂に変えて、△5四香と香車を先に打った局面。こちらの方が▲6六馬の受けを許さない厳しい一手に見えますが、この手に対しては▲8五飛が最善の一手になります。一時的に△4五桂も防いでいるので、後手は指す手に困ります。もちろん、△5七香成には▲5八歩と普通に受けておいて大丈夫です。
- ただし、最善手の▲8五飛以外にも、▲4六角と受けるのも有力で是非覚えておきたい一手です。▲4六角に△4五桂なら▲6六馬と引いて第4図の定跡に合流します。気になるのは▲4六角に△8六飛ですが、以下▲8八歩△7六飛▲6八玉(=参考図)と受けておけば後手の攻めは続きません。なお、▲8八歩と下に受けているのは、△4六飛と切られたときの変化に備えた一手です。
- 第1図のところでも▲8五飛があるのでは、と思われるかもしれませんが、その場合は△5七桂不成が厳しく先手敗勢です(次の△6九飛が強烈)。横歩取りでは、この筋がしばしば出てくるので覚えておきましょう。
9筋の突きあいがある場合の注意点
- 本手順においては実現しませんが、9筋の突き合いがある場合、▲8五飛に対して△9三桂という返し技があります。以下▲8一飛成△8五飛▲同龍△同桂(=参考2図)と進むと先手苦しい形勢です。例えば、参考2図で▲8一飛には、△5七香成と単機の攻めが有効になります。△5七香成に対して(1)▲5八歩と受けるのは△8八飛、(2)▲8五飛成と桂馬を取るのも△3八飛という必殺の一手が飛んできます。
- 従って、もし後手に△9三桂と跳ねることが出来る場合は▲8五飛の最善手は疑問手に変わります。その場合は▲4六角と打って第4図の定跡に合流させるのが良いでしょう。
△2六歩が意外とうるさい
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第8図以下の指し手
△2五飛 ▲同飛
△同歩 ▲8五飛
△2六歩 ▲8一飛成
△4五桂 (第9図) - 第8図より△2五飛としますが、清算してもう一度▲8五飛と打ちます。△4五桂を封じられている状態なので、△2六歩とするよりありません。この△2六歩は、次に△2七歩成~△2八飛を含みにした狙いです。しかし、▲8一飛成と桂馬を取りながら龍を作った手も大きく、先手好調です。
- なお、△2六歩のところで、△5七香成は以下、▲5八歩△4七成香▲4八歩△3八銀▲4七歩(参考図)と確実に受けておいて後手の攻めは切れています。
局面を落ち着かせて先手良し
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第9図以下の指し手
▲5六歩 △5七桂不成
▲2四角 △5八玉
▲5七角 △5六香
▲5八歩 △5七香成
▲同歩 (結果図) - 5七の地点を受けるのが悩ましいところ。加えて△2七歩成~△2八飛の含みが残っているので、見た目よりも難解です。第9図より▲6八玉は自然ですが、以下△5七桂不成に対する対応が難しいです。よって本手順では、少し指しにくいですが▲5六歩から、局面をサッパリさせます。
- 結果図の局面は、先手の駒得で龍と馬の存在が大きく優勢です。